鋸山

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頂上から見る山の全景

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2022/7/6
ページをリニューアルしました。

標高は330メートルながら頂上近辺の迫力ある景観が有名な鋸山は、日本80名山・日本百低山のひとつとして選定されており、1300年前に開山された「日本寺」の敷地がほとんどを占め、それぞれの名所はすべてお寺の管理下となっています。

鋸南メニュー

文化財・名所リポート

いちばんの人気は断崖絶壁になっている展望台で、横から見ると斜めになっている展望台は高い場所が平気な方でも二の足を踏んでしまいそうな高度感で、暑い日でも冷や汗タラタラになりそうです。

地獄のぞき展望台

ゾッとする光景の写真で有名なこのスポットは、名前のインパクトも抜群のインスタ映え名所で、なかでも頂上付近の絶壁の階段はスリル満点です。

いちばん高い地点に位置しているので、アクセス便利な鋸山でもここまで行くにはそれなりの体力を要しますが、少しでも近くまで車で行きたい方は、西口管理所の駐車場まで車で行くルートがおすすめです。

山頂の展望台までたどり着いた人々
330メートルとは思えない高度感。

大仏広場

山頂エリアから下っていくと広いスペースに辿り着き、そこでは見どころのひとつ「薬師瑠璃光如来(やくしるりこうにょらい)」の堂々とした姿を見ることができます。

もともとは1783年に大野甚五郎英令と門徒たちが3年の年月を費やして岩山を彫刻したもので、1966年に修復されたものが現在の姿となっています。

羅漢道から山を下りていくと管理所に差し掛かり、そこから比較的広く平坦な道のりが続き、しばらくすると売店と屋根付きの休憩所が見え、その奥には緑に囲まれた如来像がドーンと座っています。

入口でもらえるパンフレットには、奈良東大寺、鎌倉光徳院との比較などが書かれているので、最初に一読しておくと楽しみも倍増します。

如来像がある周辺広場
山の岸壁に彫られた迫力の風景。
瓦志納所と売店
御守だけでなくパンフレットやお土産も。

千五百羅漢道

山頂エリアとのあいだにある道で、聖徳太子像・百躰観音・西国観音・弘法大師護麿窟などが山道の途中に祀られています。

地獄のぞきから表参道に降りる際のルートにもなっていますが、一気に降りるコース(近道)を選択すると、この羅漢堂は通ることができません。

近道はかなり急な階段がつづきますが、こちらの千五百羅漢道を通るコースはそれほど急な勾配ではないので、観音様や奥の院などを見学しながら降りることができます。

小さな仏像が立ち並ぶ百躰観音エリア
四国・坂東・秩父観音を合祀する百躰観音。
高台に佇む聖徳太子像
高い場所に祀られている聖徳太子像。
奥の院へと続く階段
ルートから外れた場所にある奥の院無漏窟。

百尺観音

ロープウェーを利用した場合の入口となる「西口管理所」から人気展望台までのルートの途中には、ちょっとした分かれ道があり、右に行くとそのまま山頂へ向かいますが、左のコースを選ぶと「百尺観音」に行くことができます。

くぼみの中に佇んでいるので見つけにくいですが、百尺イコール約30.3メートルという巨大な姿が突然現れる迫力は、一見の価値ありです。

観音の先にはまた道が続いていますがそこは「裏登山道」となっており、浜金谷駅付近まで降りることができるルートとなっています。

岸壁のくぼみに作られた百尺観音
ふと横を見ると巨大な観音様が。
浜金谷駅・東京湾フェリー方面下山道
自力で降りる場合はそれなりの装備が必要です。

薬師本殿・大黒堂

大仏広場の売店の向かい側に見える階段を降りていくと大黒堂・薬師本殿、さらには茶吉尼天を祀る乾坤稲荷(けんこんいなり)へと続いており、その向かい側には東口管理所と駐車場があります。

大黒堂は、江戸時代から伝わる本尊を2005年に再建されたもので、弘法大師が修行中に彫刻されたという石仏(大黒尊天)が祀られており、開運厄除け・商売繁盛・家内安全にご利益があるとされています。

隣に建っている立派な薬師本殿は、源頼朝による医王殿の扁額が掲げられていたという歴史的建造物でしたが、1939年に火災で焼失したものを2007年に再建されたものです。

比較的新しいつくりの本殿
平成19年に再建された薬師本殿。
大黒堂の復元本尊と祈願の絵馬
絵馬が大量に掛けられている大黒堂。
細い階段の奥にある乾坤稲荷と鳥居
神聖な階段の奥に小さな鳥居と神社が。

漱石・子規の探勝碑

近代日本文学の文豪「夏目漱石」と、その親友でもあり近代俳句の祖でもあり巨匠ともいえる「正岡子規」を記念して作られた碑で、ふたりのイラストと鋸山との関係を文字にした彫刻です。

正岡子規が生涯をかけて作り上げた「七草集」はこの地を舞台とされて書き上げられており、その内容に感銘を受けた夏目漱石は、すぐさま自ら房総を周遊して「木屑録」という書を執筆しました。

その見事さは子規も絶賛するものであったと同時に、このやりとりでお互いの友情・尊敬・信頼がさらに深まったという、有名な逸話の文章が彫られています。

夏目漱石と正岡子規のイラスト彫刻
明治文学ファンにとっては聖地ともいえる場所。

十州一覧台

ロープウェーを利用して到着する山頂駅から西口管理所をくぐると間もなく左側に登りの階段が現れますが、この道が十州一覧台へと続いており、その頂上は近隣の港・海はもちろん、天気の良い日は遠くの富士山も望むことができる展望台となっています。

展望台はちょっとした広場になっており、世界救世教の記念碑と神社、ベンチなどが設けられており、地獄のぞきと比較すると人もかなり少ないので、プライベート展望台として楽しめるおすすめの穴場です。

「十州」には千葉県内の安房・下総・上総も含まれていますが、あとは茨城・群馬・栃木・東京・埼玉・神奈川・静岡を跨った地名が絡んでおり、ここからの景観が相当遠くまで見えることが名前だけでも想像できます。

ただ、この展望台へたどり着くにはかなりの段数の階段を登る必要があるので、最初に体力を消耗しまっては…という方は、帰り際に寄るか、もしくは次回の来訪時に持ち越しをするのが無難といえそうです。

分岐点と展望台への入口標識
この案内が見えたら十州一覧台入口です。
展望台に置かれた碑と眺望
危険な箇所には鉄柵が設けられています。
芝の上に設けられたベンチ
登り疲れた足を休められるベンチ。

頼朝蘇鉄

薬師本殿を通り、その道をさらに進んでいくと「通天窟」という場所に向かいますが、その手前に大きな植物と記念碑などが現れ、そこに「頼朝蘇鉄」があります。

この地は源頼朝との馴染みも深く数々の伝説が存在していますが、この蘇鉄は、頼朝が房総に避難している折に日本寺に寄った際植えられたという言い伝えが残っている由緒ある植物です。

また、この他にも、鋸南町と富津市の境あたりにある「明鐘岬」に「かがみ岩」「兜島」「鞍掛石」といった源頼朝にちなんだ伝説の岩と場所があるので、興味がある方は調べてみましょう。

数百年前に植えられた蘇鉄
頼朝公直々に植えられた(と言われる)大蘇鉄。

平坦お散歩コース

鋸山は歩いて楽しむスポットが豊富なので、山を降りた時点でクタクタ…というのが一般的ですが、「もっと歩きたい!」という方にはこちらの表参道→保田駅ルートがおすすめです。

表参道

仁王門からJR内房線の線路あたりまで続く、小さな小磯川沿いに続いている歩道で、成田山の表参道とは対象的にお店などは存在せず、辺り一帯は閑静な雰囲気に包まれています。

駅に向かって歩いていくと、弘法大師手穿の井で千年絶っても水が絶えないという「弘法井」という井戸を見ることができ、階段を降りた日本寺の敷地外からは、川の流れ沿いの風流な歩道となります。

参道途中の階段
階段が多い表参道の道中。
表参道途中に見られる歴史のある井戸
こちらが「千年未だ絶えず」の弘法井。
日本寺表参道入口
ここから日本寺の敷地となります。

保田駅方面の遊歩道

表参道の標識の外側からは一般の道となりますが、ここから保田駅まで続く道は、ウォーキング好きには絶好といえる快適なお散歩コースが広がっています。

むき出しになっている線路沿いにのどかな道路があり、そこを走る列車の撮影ができるので、お花がきれいな時期には撮影好きな方にとっても絶好のスポットとなりそうです。

さらに歩くのが好きな方であれば、少し寄り道して「道の駅保田小学校」を目指すのがおすすめで、のんびり旅を楽しみたい方はぜひチャレンジしてみてください。

保田小学校への道のりはとても簡単で、可愛らしい「標識」に従って歩くだけなので、それでも迷いそうだったらグーグルマップ等のアプリを併用しましょう(方向音痴の班長でも迷うことなく到着しました)。

保田駅・道の駅保田小学校までの距離と方向
保田駅と道の駅への道しるべ。
柵が設けられていない線路脇の歩道
目の前を列車が通るのどかな道。

おすすめ撮影スポット

標高300メートルちょっとという高さながら、正岡子規や夏目漱石を筆頭とした歴史的な人物も感嘆したその景色は、現在でも色褪せることなく私達を魅了し続けてくれています。

そのような絶景が見られるスポットと、名物ともいえる場所、さらにはちょっと穴場ともいえそうなおすすめ撮影ポイントをいくつか取り上げてみました。

「地獄のぞき」を撮れる場所

「のこぎりやまに行ってきました!」の言葉の代名詞にもなっている、断崖の名所ですが、カタチそのものが名物となっており、上から見た風景よりも展望台そのものが有名になってしまったという珍しい名所です。

定番ともいえる展望台を撮影するにはいくつかのおすすめ場所がありますが、WEBや雑誌などでよく見られるアングルは、少し先にあるプチ展望台から見た景観です。

そこはベンチが設置されていて休憩所のようになっていますが、2階にも登ることもできる展望台となっており、本体を見るのには最高の場所となっています。

さまざまな景色を特集ページで詳しくご紹介していますので、いろんなアングルから狙ってみたい方はこちらのページをご覧ください。

有名な崖の写真
おなじみのアングル写真。

もうひとつの山頂

鋸山観光者の多くはメインの地獄のぞきに行く前にこの「体力消費が激しそうな長い階段」を敬遠されるようで、そのおかげで訪れる方が少ない「十州一覧台」は、絶好の穴場スポットになっています。

脚力に覚えのある写真家の方であればここで二の足を踏むのはプライドが許さないはず…というわけで、体力的にやや難易度が高い景色は、撮影好きには興味を掻き立てられるスポットと言えそうです。

空気が澄んでいれば富士山も一望できたのですが、撮影日は晴れていたもののモヤっており鋸南・富津の港の景観どまりだったので、みなさんは是非最高の1枚をGETしてください♪

十州一覧台から望む鋸南町の漁港
漁港と海の先には富士山も。

愛犬家のための情報〜

日本寺の敷地内はワンちゃんの入場が可能で、しかもロープウェーも(抱っこ・ゲージ限定で)一緒に乗れるという素敵な環境なのですが、いかんせん道中の傾斜が厳しいので、車がない場合は体力に覚えのある飼い主さんと頑丈な体を持つワンちゃんでないと厳しそうです。

愛犬とお散歩おすすめ度:2
★★☆☆☆

車をお持ちであれば、大仏口駐車場に置いてから広場を目指すのがいちばんおすすめのワン散歩コースで、途中の歩道は傾斜が少なく階段もほとんどないので、飼い主さんワンちゃんどちらの負担も最小限に抑えられます。

表参道から保田駅へ繋がる歩道が快適でおすすめですが、一度日本寺の敷地を出てしまうと再度入山料が必要となるので、ここを散歩する場合は、道の駅保田小学校に車を置くか、もしくは近隣の駐車場を探すことになります。

柴犬と一緒に散歩する女性
中型犬と大型犬がよく見られました。
お散歩向きの参道
高低差がなく快適な道もあります。

管理所と駐車場

地獄のぞき・如来像・羅漢堂などの名所はすべて日本寺の敷地内となっているので、訪れる際には必ず管理所で入山料を支払う必要があります。

管理所は全部で4箇所あり、山頂付近まで乗り物を利用した場合は西口、車で中腹まで行く場合は大仏口、車利用でたっぷり歩く方向きの東口、保田駅から続く遊歩道も満喫したい片向きの表参道管理所と、それぞれの目的別によって通る管理所が異なります。

駐車場はすべて無料ですが、中腹・山頂に行くには有料道路を利用することになるので、その両者は実質的には有料となるので、少しでも安く訪れたい方は東口の駐車場がおすすめとなります。

西口管理所(山頂)

いちばん利用者が多く標高も高いメインの入口で、山頂まで乗り物を使った場合はこの管理所で入場料金を支払うことになります。

ここからスタートするとほとんどが下りとなるので、体力をセーブして少しでも多くの名所に足を運びたい方はここを利用するルートがおすすめかつ無難ですが、楽な分それなりの対価(1人1,000円程度)が必要となります。

入口の手前にトイレがありますが、この先はしばらくお手洗いが設置されておらずしばらくガマンすることになるので、できるだけ寄っておくのがおすすめです。

日本寺境内西口の看板
ここから先は拝観券(取材時大人700円)が必要です。
管理所手前にあるトイレ
できるだけここで用を足しましょう。

大仏口管理所

その名の通り、如来像が目的の場合はいちばんおすすめの中腹部分にある管理所ですが、ゲートを通過してすぐに広場に到着するわけではなく、ほぼ直線の道を歩いた先に境内広場が設けられています。

ここにたどり着くのは車利用のみで、登山自動車道(有料)を通過するので、山頂と同じく通行料金が必要となります。

外側からゲートを見た風景
駐車場のすぐ先に門があります。
利用者が少ない駐車場
頂上まで距離があるためか空いています。

東口管理所

鋸山観光自動車道(無料)からこの東口管理所までのルートは、標高は低いものの、通行料・駐車料金どちらも無料のリーズナブルコースとなっており、「観光料金をお土産屋食事代にまわしたい」といった方におすすめです。

この管理所を通過した場合、山頂を往復する体力が必要となりますが、近道を使うとそれほどの距離でもないので、登りは緩やかな道を通りながら千五百羅漢道を経由して地獄のぞきに行き、帰りは(ほぼ)一直線の近道で一気に降りる、というのがおすすめのコースととなります。

利用率半分ほどの無料駐車場
道中が無料なので、そこそこの人気です。
東口管理所の受付と入口階段
ほどよく歩けるリーズナブルコース。

表参道口管理所(仁王門)

この管理所は、表参道・仁王門という本来ならいちばん賑やかな場所になりそうなものの、駐車場が付近に存在していないため、利用者がかなり少ない穴場的スポットになっています。

途中の表参道と遊歩道はかなり快適なお散歩コースとなっているので、歩くのが好きな方にはおすすめのコース、といいたいところですが、体力を使ったあとに徒歩約30分の保田駅まで歩くのはちょっと酷…というのが正直なところです。(お散歩コースの紹介はこちら

人が来なそうな表参道管理所
のんびりした雰囲気の管理所
入口付近に建っている仁王門
正門の証?ともいえそうな仁王門はここに。

公共交通機関

アクセス方法が多彩な鋸山は徒歩で訪れるにも便利な環境となっており、その景色だけでなく、2つの駅に楽しみと見どころがたっぷりあるので、ぜひとも一緒に楽しんでおきたいところです。

ロープウェー

山麓からショートカットして一気に頂上まで行けるこの絶景移動手段は、JR「浜金谷」駅から徒歩10分程度の距離にあるので、景観を楽しみながら体力もセーブできるという、おすすめの移動手段です。

山麓駅の売店ではオリジナルのお土産が手に入るほか、冷たい飲み物やおやつなども販売しており、出発まで時間があればコーヒーでも飲みながらゆったり待つことが可能で、無料の駐車場も用意されています。

山頂駅は食堂や展望エリアなどの広いスペースが設けられており、絶景を眺めながら食事・休憩ができ、ここだけでもちょっとした観光スポットといえるほどの充実っぷりで、しっかり冷えた人気のびわゼリーなど、観光前のエネルギー補給にもうってつけです。

山麓駅入口
出発前のウキウキ感がたまらない山麓駅。

JR浜金谷駅

山麓駅と山頂付近まで行ける裏登山道の入口まで徒歩約10分という立地の「最寄り駅」ですが、行き・帰りとも本数が少ないので、利用の際には時刻表をしっかりチェックしておきましょう。

大きな広場がある浜金谷駅前
駅前には乗り場の案内が。

鋸山概要

所在地 千葉県安房郡鋸南町元名(地図)
駐車場 あり(無料)
犬・ペットの入場 入場可能
電車・バスの場合 浜金谷駅から徒歩約10分→ロープウェー山麓駅
JR保田駅から徒歩約30分→表参道口
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記事:取材班長・みどり

千葉県にはこれといった高い山はありませんが、気軽に山頂まで行ける低山がいくつかあるので、本格登山をしない私達にとってはちょうどいいかも…って感じです(笑)。