佐倉城址公園

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城の空濠と桜
城の空濠と桜

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2022/6/3
ページをリニューアルしました。

園内はもちろん博物館も人気で、200台もの収容力を誇る駐車場でも足りないほど人が訪れる佐倉城址公園。

川・沼・丘などが備わった地形の良さを生かした堅城として江戸幕府の老中が建てた佐倉城の地形が現在でもそのまま残っています。

資料が多く残っているため、城の本丸にあった門・部屋・台所の場所もわかっているのが、この城址公園のいちおし観光ポイントです。

また、この地形は近代の軍隊向けでもあったため、明治7年から昭和19年までの多くの戦争が行われていた時代に拠点・訓練所として利用されており、その遺品や名残がいくつか残されています。

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史跡リポート

遊具など遊べる施設はほとんど設置されておらず、散策路・城の案内図・看板などが目立つこの施設は、観光目的の方のための公園といってもいいでしょう。

そのため、散策に訪れる方を楽しませるための工夫を随所に見ることができ、歴史に興味がある方はもちろん、あまり関心がない方やお子さんに興味を掻き立ててもらえるように、城の配置図の説明が随所に設置されています。

佐倉城址

城址公園を楽しむには、かつての城の天守閣や本丸・二の丸・土塁などの場所を巡る「本丸跡と三逕亭周辺の散策コース」が人気かつおすすめの観光方法となります。

土日祝日・桜が咲いている混雑期は散策コースが一方通行となりますが、入口付近から案内がされているので、それに従って進むようにしましょう。

三逕亭と本丸周辺の散策一方通行コース
この張り紙を見かけたら撮影しておくのがGood。

本丸周辺

佐倉城址公園のメイン広場はこの本丸跡で、入場口も兼ねている一の門跡は、本丸からみてはじめての門で別名「一の御門」と呼ばれていました。ちなみに一の門とは現在でいう「門」ではなく、木造で本瓦葺の二階建ての建物でした。

門の案内を通り過ぎるとそこから本丸となり、中には天守閣・銅櫓(どうやぐら)・角櫓・御殿などが置かれていた場所などとなり、それぞれに案内がされています。

銅櫓は、佐倉城を建てた土井利勝が将軍から拝領したもので、江戸城から移築されたものとされていおり、造ったのは太田道灌といわれています。

二の門も一の門と同じく建物の名称で、本瓦葺、二階造り、梁間三間、桁行八間の木造づくりで、武器庫として、さらには藩政をとる役所としても使われていました。

佐倉城本丸の台所門跡(不明門)
ひとつひとつに案内板が設置されています。

二の丸

本丸から少し離れた芝生広場では御番所・対面所の二の丸御殿跡を観ることができ、年始や五節句などの特別な時期以外は使用しなかった本丸とは対象的に、こちらの二の丸は佐倉城の歴代の城主が住んでいたといわれています。

ちなみに本丸を使用しなかった理由としては、徳川家康が本丸御殿で休憩したことで、歴代の城主たちが遠慮したからと伝わっています。

そのため、この二の丸御殿が歴代城主の寝所となり、藩士が詰めかけ勤務をしていた場所で、佐倉城の中枢を担う重要拠点として活躍しました。

幕末までこの二の丸御殿は使われていましたが、幕末には老朽化したため、新築の三の丸御殿に藩主の寝所が移ることになり、名君堀田正睦はその三の丸で最期の時間をむかえたそうです。

二の丸御殿跡の芝生広場
一見普通の芝生広場は、かつての重要拠点でした。

土塁

佐倉城は石垣を持たない「土の城」だったことが特徴的ですが、想像に難くないように土だけで外敵から城を守るためには数々の工夫が必要となるため、土を高く盛って侵入を防ぐ土塁を数カ所に置いていました。

かつての佐倉城の姿を想像できる重要なアイテム「土塁」が実在した場所にはそれぞれ説明が書かれているので、それらを巡ってみるのもおすすめです。

佐倉城の土塁説明看板
土塁の名残を数多く見ることができます。

馬出し空濠

土城の佐倉城を守っていた工夫のひとつとして特徴的なのがこの馬出し空濠で、城門前に築いて人馬の出入りを敵に気づかせない役目を果たしていました。

歴史建造物を守るよりも目先の戦争を優先させていた明治時代に、連隊を造営させるために埋め立ててしまい、一時は姿を隠していました。

昭和46年に発掘調査が行われ、長さや深さなども確認され現在の形になりましたが、当時の深さより浅く復元されました。

周辺に桜が咲く空堀
周辺には多くの桜の木が立っています。

佐倉連隊跡

佐倉城は、幕末に城としての役目を終えた後も、戦争の拠点・訓練所として利用されており、明治時代の西南戦争に始まって日清戦争・日露戦争・昭和に入ってからは第二次世界大戦の訓練所・病院などとしても利用され、重要な役目を果たしました。

その跡や碑は数多く当時の状態で残っており、主に下記の8箇所はひとつずつ説明看板も設けられているので、興味がある方は看板に書かれている地図を見ながら探索してみるといいでしょう。

  • 1.衛兵所
  • 2.兵営の便所
  • 3.佐倉陸軍病院
  • 4.兵士が文字を彫り込んだモッコク
  • 5.車道の碑
  • 6.佐倉兵営の碑
  • 7.弾薬庫
  • 8.訓練用の12階段
  • 9.軍犬・軍馬の墓
佐倉連隊が使用していた訓練用の12段階段
こちらは訓練用の12階段。

正岡子規の句碑

「常盤木や冬されまさる城の跡」

坂の上の雲など数々の近代歴史小説にも登場している明治時代の俳人で小説・文芸評論家、または写生もしていた正岡子規の句碑が置かれています。

子規がこの佐倉で句を呼んだのは、親交があった香取秀真が旧佐倉藩士だったこと、同じく親交があった洋画家の浅井忠が幼少期を佐倉で過ごしたこととも関係があるとも言われています。

立派なつくりの句碑のすぐ横には、正岡子規が佐倉に訪れた際に読んだ他の句なども紹介されているので、ファンの方は是非一度訪れてみてください。

正岡子規の句碑と説明書き
ファンにとっては感慨深いものが。

施設情報

国立歴史民俗博物館

歴博(れきはく)という愛称で親しまれている人気の博物館で、正倉院文書の複製を手掛けるなど、歴史を中心に資料や学習の材料を提供している博物館です。

おとなの入場は有料(取材時:一般600円・大学生250円)ですが、高校生以下は無料なので、夏休みの宿題のネタさがしなどの利用におすすめです。

イベント・催しも随時開催されており、講堂もしくは企画展示室にて教員やスタッフ・研究者たちが協力して行う歴史関連の共同研究発表をはじめ、プチ映画のようなストーリーの映像モノ、民俗情報などさまざまで、最近ではオンラインでの配信も行っています。

国立歴史民俗博物館前の広い多目的スペース
月曜は休館(取材時)なのでご注意を。

くらしの植物苑

歴博が運営している施設で、毎年多くの観光客が訪れている植物鑑賞スポットで、一般の入場料は100円(取材時・高校生以下無料)です。

苗の販売やひとつの花にテーマを絞ったイベントなどが開催され、お花・植物好きにはとてもリーズナブルに楽しめる場所として多くの方が訪れています。

植物に詳しい方はもちろん、これから詳しくなりたい方にうってつけの施設で、ホームページで見頃の花の種類を定期的にアップしているので、季節ごとに咲く花をチェックしつつ、リアルで見に行く、という楽しみ方も可能です。

過去の情報も残っているので花の勉強にもぴったりで、例えば、多くの公園では花をあまり見ることができない真冬に咲く山茶花やヤブツバキなどの写真も掲載されているので、公式ページで予習をしつつ、時期に咲く鮮やかな花を鑑賞しに行きましょう。

「今週のみごろ」はこちら

くらしの植物苑専用駐車場
すぐ目の前に専用駐車場も。

景観リポート

城址というこもあって、園内には遊具など遊べる施設はほとんど設置されていない反面、景観や史跡を楽しめる工夫を数多く施しています。

たとえば、随所に配置されている、歴史にあまり関心がない方やお子さんでも興味を掻き立てそうな「城の配置図」や「史跡の説明」がその例です。

桜の名所と穴場

佐倉城址公園は桜の名所として、数々のサイトやパンフレットに掲載されているので、シーズンになるととても多くの観光客が訪れて桜の景色を楽しんでいます。

特徴としては、シートやテントを広げてワイワイ盛り上がるお花見ではなく、歩きながら城址や濠などの歴史建造物や跡と桜のコラボを見てまわる、という楽しみ方がメインなので、酒を盛ってお団子を食べるといったタイプのお花見には向いていません。

とくに本丸御殿跡周辺は集中的に人が集まるため一方通行のルートが設定され、密にならないように工夫されているので、それに従って逆走しないように歩くようにしましょう。

桜祭り開催中の本丸御殿周辺
祭りも開催される本丸御殿エリア。

少し離れた場所に位置している「くらしの植物苑」の向かい側の空濠付近にも桜の木が多く立っていますが、どちらかというと穴場スポットといった雰囲気です。

くらしの植物苑横の空濠付近で花見を楽しむ人
空濠付近は桜の穴場。

その他にも、姥が池の周辺や訓練用12階段近辺などに桜の木が多数立っているので、人がいない場所でも積極的に散策してみましょう。お気に入りが見つかるかも。

訓練用12階段横の大きな桜
桜を独り占めできる場所も。

姥が池

園内には、一部の方々で心霊スポットとしても噂されている小さな池があり、読めば納得といったような悲しい話を、横に立っている看板で読むことができます。

その内容は、「姥が池」(うばがいけ)という名前からも想像できるように、この池のまわりで家老の娘をおもりしていた姥(うば)にちなんで命名されたと伝説です。

おもりをしていた娘を誤って池に落として沈めてしまい、助けることができず困り果て、挙句に自分も身を投げて命を絶ったとか。

そんな池ですが、周辺にはベンチも設置されている絶好の散策コースで、多くの方が姥のことも忘れて気持ちよくお散歩に没頭しています。

姥が池と周辺の散歩道
昼間は快適な景観池です。

ビオトープ

姥ヶ池の奥、訓練用の12階段の先あたりに、一見水田のような景色が広がっていますが、その一帯は桜中学校の研究会の方々が参加して作ったビオトープで、千葉県立中央博物館の助言を受けながら生物などの保護・管理などをしているものです。

したがって、虫取り網を持ってザリガニ捕り気分で訪れたり、カエルやオタマジャクシを捕りに、ということはできません。動物保護のために採取・移植はせず、鑑賞用として楽しみましょう。

ビオトープの散策コース
珍しい生物を発見できることも。

グルメ情報

城址などを見て回るまたは博物館見学といった「徒歩観光公園」のため、くつろげる芝生はかなり少なめです。

食事を楽しむには、お弁当を持ってきて数少ないベンチを見つけるか、歴博のレストランでゆったりくつろぎながらいただくか、といった選択肢になりそうです。

レストランさくら

ぐるっと周ってみても佐倉城址公園の敷地内にはレストラン・カフェは見当たりませんが、国立歴史民俗博物館の大きめのレストランは、歩き疲れた後の有り難い休憩所として利用されています。

トンカツセット・ソースカツ丼・ハンバーグセット・カツカレーなどのボリューミーなメニューが中心で、黒米(現地では古代米とも)を利用しているのが特徴です。

オリジナル的なものとしては「歴博むすびセット」というのが特徴的で、3種類のおむすびにちょっとしたおかずがついているライトな感じで、お天気の良い日にテラス席で食べたくなりそうな美味しそうなメニューです。(食べログを見る

開店前のレストランさくらテラス席
テラス席も用意されています。

三逕亭(さんけいてい)

城址の本丸から少し離れた三の丸跡付近に、三逕亭(さんけいてい)という一軒家のような雰囲気の茶室が建っており、営業は日曜日と祝日のみ、10:00〜15:00のお昼限定で営業されています(ウイルス蔓延時等、中止の場合有)。

軽くカフェに寄る、というよりは「作法」のお茶を好む方向きで、一軒家の中の茶室・縁側・庭で抹茶と和菓子を「いただく」といった雰囲気です。作法が流派によって違うなどリピーターでも楽しめる要素が魅力で、ちょっとしたファンも獲得しているようです。

三逕亭入口の庭
入口に営業状況の案内が。

おすすめ撮影スポット

施設内には本丸・二の丸・三の丸といった城の跡が残っており写真好きには魅力的ですが、綺麗に復元された濠はインパクトが強く、さらにおすすめです。

天気の良い日に桜と一緒に上手に撮影できれば、ちょっとした写真コンテストで入賞できるかも。

馬出し空濠

城址内に数多く残っている(復元されている)歴史建造物のなかでもひときわ目を引く「濠」ですが、中でもカタカナの「コ」の形をしている「馬出し空濠」は、周辺の景色も抜群で遺跡情緒もたっぷりです。

この城は土製のため石系の城跡がないものの、濠関連の城跡に関しては近隣でも群を抜いているので、写真好きな方はこちらにも要注目です。

周辺に桜が咲く馬出し空濠
江戸時代を彷彿とさせる雰囲気がGood。

愛犬家のための情報〜

佐倉城址公園は、歴史を感じながら歩くのもよし、森林浴を楽しみながら散策されるのもよしで、園内全体に情緒ある絶好のお散歩コースが広がっています。

愛犬とお散歩おすすめ度:5
★★★★★

急坂や階段が多少見られますが回避は可能で、室内以外はワンちゃんの進入不可な場所もなく、しかも自転車が通らないという抜群の条件がそろっています。

城址付近を犬と散歩している男性
安心してお散歩ができる環境です。

人気の高い観光名所のため週末などは多くの人が通行されるので、人が苦手なワンちゃんとお散歩をされる場合は、本丸近辺は避け、姥が池付近のエリアを歩くのがいいでしょう。

ビオトープで2頭の中型犬を散歩させている女性
姥が池奥ビオトープ周辺の歩道。

アクセス

第1・第2と臨時、さらには少し離れた場所に田町駐車場が設けられていますが、週末や桜の季節、ゴールデンウィークなどのピーク時には自由の広場が開放されます。

駐車場

合計200台以上収容できるキャパが魅力の佐倉城址公園は、混雑期には臨時的にスペースが拡大します。

園内に入ると係員に誘導されるので、満車時でも案内に従って慌てずに運転しましょう。

園内入口の上り坂
まずは「P」マークを目指しましょう。

第1・第2駐車場は高台に位置しているので観光拠点として便利ですが、坂の下付近の田町駐車場は空いているものの公園や国立歴史民俗博物館までの上り坂がけっこうハードです。

よほど混雑している時期を除いて、坂を車で上って公園内の第1・第2または自由の広場(臨時用)に置くのがおすすめです。

園内まで遠い田町側
城の下に位置している田町駐車場。

電車・バス

「京成佐倉」駅から徒歩20分で、JR「佐倉」駅からは徒歩25分程度の距離に位置しいているので、駅からの徒歩は結構体力を消耗しますが、「ちばグリーンバス」で「田町車庫」行きに乗車すれば楽に到着できます。

佐倉駅周辺に停車している車
こちらは京成佐倉駅南口のバスロータリー。

佐倉城址公園概要

所在地 千葉県佐倉市城内町(地図)
駐車場 200台以上(混雑時には臨時的に増設される)
詳細はこちら
園内地図
(クリックで拡大)
佐倉城址公園の全体地図
犬・ペットの入場 入場可能です。芝生の道が多くておすすめです。
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記事:取材班長・みどり

歴史建造物・佐倉連隊などの遺産から、国立の博物館、豪快な桜の景色など、見どころがかなり多い観光公園で、何度訪れても違った楽しみ方ができます。

ここでは紹介できなかった、または私が見落としている面白いスポットもたくさん存在していると思うので、是非実際に足を運んでみてください。