波の伊八の彫刻を拝観できるお寺のひとつで、彫刻は本堂から少し離れた座敷あたりに保存されており、外からは鑑賞することができないので、公開している時間(取材時は土日祝日の13〜16時半)を狙って訪れましょう。
拝観料(正式には「文化財修復保護基金」)は500円ですが、自分で見るだけでなく、ご住職によるガイド・講話の料金も含まれています(2022年11月)。
東頭山という山号で嘉祥2(849)年に慈覚大師によって開山され、何度も戦火に遭遇されながらも、平重盛・二階堂行元・冷泉家・武田氏など再興に尽力したと伝わっています。
現在地に移ったのは天正14(1586)年6月で、本多忠朝などの信仰を集めながら、徳川家の庇護(10万石)を受け、学問寺として末寺100ヶ寺、人材育成・芸術などの文化の向上に努めてきたお寺です。
敷地・駐車場ともに広大な面積で、境内には彫刻が見事な本堂をはじめ鯉が優雅に泳ぐ池、茶店(カフェ)、大きな授与所、観音像、句碑も見ることができる見どころたっぷりの寺院です。
なかでも「木造十一面観音立像」が千葉県指定の文化財に、「銅造聖観音立像」「芭蕉の句碑」「木造聖観音像仏頭」「観音二十八部衆立像」がいすみ市指定の文化財となっています。
自然の環境にも恵まれており、「房総の魅力500選」にも入っているこの付近の森は、スダジイ・ヒサカキ・ヤブコウジ・ホソバカナワラビなどが生育し、貴重な自然林を形成しており、所々に北方系のモミの巨木が残っているほか、南方系のカゴノキ・ノシランなども生育しています。
「波の伊八」の彫刻、源頼朝が筆を掛けたとされている木「筆掛けの槙」、痛い箇所をさすると痛みが薄れると言われている「さすりの仁王様」など見どころが豊富で、お寺巡りの経験が少ない人でも楽しめるスポットです。
境内の付近に狭い道路を通るため、大きな車でお越しになるにはちょっと大変ですが、敷地内には空き地が設けられており、混雑するシーズンでない限りは余裕を持って駐車することができます。
波の伊八の彫刻は、豪華な歴史建造物とともに本堂で見ることができます。拝観料の300円を収め、扉に貼られた作法に習って「南無阿弥陀仏」と唱えて合唱するようにしましょう。
江戸時代の名称は上総十二社のひとつ山内四社の「玉崎神社」だった飯縄寺は、波の伊八の彫刻の中でも傑作といえる「牛若丸と大天狗」を拝観できるお寺で、波乗り中のようにも見える仁王門などの天狗などを見ることもできます。
綺麗に整備された境内は、彫刻はもちろんその風景もSNS映え抜群の景観で、江戸時代にタイムスリップしたような雰囲気のなかを歩くことができます。
見事な鐘楼も是非鑑賞しておきたい歴史建造物のひとつで、頑丈そうな石が土台になっていて、鐘の上には見事な瓦葺きが見られ、腰羽目には龍と虎の彫刻も彫られています。
その他の有形文化財としては「水屋」なども見られ、1797年に作られたとされる瓦葺き屋根は、小さいながら歴史の深さを感じることができる貴重な歴史建造物です。